庭に咲く様々な植物は、四季折々に姿を変えて再生し私に季節の移り変わりを知らせてくれている。毎年、不思議と同じような場所に同じ植物が花をつけるのは自然の営みのようにも思えるが、なにか理由があるのだろう。

植物にとって種子がはじまりなのかまた終わりなのか、私には決めることが難しいのだが、植物の多くは分身となる種子をつくり、静かに再生の儀式を行う。

人間に顔があり個性があるように、また植物にも個性と顔がある。

分身となった、種子という名の棺は、時間を超えて静寂の眠りにつく。いつ再生の声を聞くか知らずに。棺の形には個性が強く刻まれている。それは永い年月を生きるための変態した形を想像させる。

時間を超え、姿を変えて遺伝子を残す植物の生命にはどんな符号が刻まれているのか。

この手のなかに眠る棺をそっと傾けてみると永遠に美しい音色を奏でる旋律が聞こえてくるように思う。

大矢雅章 1996

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