Essay

新しい題材の作品をイメージするとき、同時に作品が生まれた背景を文章にしています。エッセイは作品の直接的な説明ではありませんが、近年では新作個展の際に新しいエッセイを書き下ろして作品と共に展示しています。完成された作品と、作品が生まれる時に書いた文章が振り子のように見る人の中で行ったり来たりしながら、僕の伝えたいメッセージをより深く届けて欲しいと思っています。

永久機関

庭に咲く様々な植物は、四季折々に姿を変えて再生し私に季節の移り変わりを知らせてくれている。
毎年、不思議と同じような場所に同じ植物が花をつけるのは自然の営みのようにも思えるが、なにか理由があるのだろう。

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霏霏

ひとりの静かな時間が好きな私にとって夜のしじまに腐蝕液という不思議なブラックボックスを覗きこむひとときはなんとも楽しい時間となっている。

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A Priori Towane 2003

時間の流れが変化すると、見えている風景もそのスピードに応じて変化を見せる。慌ただしい時間を過ごしている間には、ゆっくりと流れる時間のなかから見える風景には、想像もしない不思議がパズルのように隠されていることを知る由もない。

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星霜への考察によせて

□時間の流れを測る定規としての箱
アトリエの表にあすなろの木が2本並べて植えてある。この2本の木は意図的に並べて15年前ほどに父が植えたものだ。有名な小説にちなんで家族旅行の折りに遠方から購入したことを覚えている。

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「生生流転」によせて アプリオリトワネ・星霜への考察シリーズより

その既視感は銅の大地に波紋を描かせた。そのひろがりがどこへ響くのか、いまはまだ知らない。

ある日、突然この場所に来た。自分の意志とは必ずしも無縁とはいえないが、成り行きでここにいる。はじめて見る緑の風景の中を、褐色の河は遙か先まで続いている。

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A Priori Towane 2005

たぶんたぶん一生そこに行くことはないと思っていた。
興味がないわけでも、嫌いな訳でもない。ただ僕には無縁な気がしていた。

ちょっと手を伸ばすと空に手が届きそうだ。どおりで空気が薄い訳だ。今日、僕はここにいる。無縁だと思った場所で青空を眺めている。また偶然遠くに来た。今度はかなり遠いし、空へも近い。

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Multiple P.P.P: For 'Permanent Power Project 2006'

冬の良く晴れた日に、里山だった森の中を歩いた。子供の頃によく遊んだこの場所は、大人になった今もその一つ一つに思い出深い場所だ。 幼少の頃は入ると出口の見えない鬱蒼とした雰囲気を持っていたが、近年は近隣の開発もあってぽっかり残った、残され島のような風景になっていた。 しかしその森も、この冬を最後に開発されることなった。

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星霜への考察 2006

春一番が、はだかの木々を大きく揺さぶっていた冬のある日、僕は自宅前にある、残され島のようになった森のなかで、大きくなったり小さくなったりする空を眺めていた。

たぶん百年前には大きな森だったかもしれないこの小さな里山は、もうすぐその大きな命を閉じる運命にあった。植物が人の言葉を理解していると聞くことがあるが、もしそれが本当なら、その大きく振れる手は、幼少から僕を知る彼らからのさよならのジェスチャーだったかもしれない。

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詩画集「糸遊」

夜空を見上げて、時折想いを馳せることがある。
探査船ボイジャーが地球を飛び立って、もう随分時間が経ったなあ、と。

地球外生命体にメッセージを送るという壮大な夢を託されて、ボイジャーは未踏の地へ飛び立ったが、まだ見ぬ友人からは未だ返事はないようだ。

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詩画集「星の詩韻」

詩画集を制作した作家として大変申し訳ないと思いますが、僕は「詩」に造詣が深いわけではありません。どうも言語が端的に表現された「詩」という形が、すんなり自分の中に染みわたっていかないことが多いのです。しかし、そんな僕の琴線にもはっきり触れた「詩」と2003年秋に東京で出会えました。

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個展によせて 2011
「眺めて見る漆黒の大きな銅版画」と「手にとってみる素描としての銅版画」

風のない川面にゆっくりと釣り糸を垂れる。糸はゆっくりと弧を描いて、ピンと張り詰めた竿の先と見えざる世界をつないでいる。鏡面のように見える銅板の上に鉄筆を突き立てるとき、僕はふと、昔良く眺めたそんな光景を思い出す。

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星霜への考察 After 3.11

ある時、新聞に掲載されたとても美しい小さな花の写真に目が止まる。花の写真だとばかり思っていたが、よく見てみると、それは金属の顕微鏡写真だった。二千倍拡大された世界の中には、目に見える世界に咲き誇る花々と見間違うような「奇妙な花」らしい形をしたものが存在する。あまりに花と酷似した形をみて、私の目に見ないない世界にも我々と同じような営みがあるのではと想像を掻立てた。

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